「本当に、今の実力でFP試験に申し込んで合格できるのだろうか?」
「試験に落ちてお金や時間を無駄にしてしまわないか?」
やるべき学習を、やるべき期間頑張ったにもかかわらず、FP試験に対する不安がぬぐえず申し込みをためらっている方も多いのではないでしょうか。
ですが、きちんと学習をしてきたのであれば、その不安は実力不足が原因ではなく、むしろ実力が高い人ほど陥りやすい「自信のパラドックス」が原因かもしれません。
この記事では、試験に対する不安の正体を心理学的に解き明かし、「実力不足で試験申し込みが不安だ」と感じているあなたの背中を押す、具体的な思考法をご紹介します。
そろそろ試験に申し込もうか迷っている方、申し込みをしたいけれど不安な方は、ぜひこの記事を読んでその不安を自信に変えるヒントを見つけてください。
FP試験前に不安になるのはなぜ? ダニング=クルーガー効果が示す「自信のパラドックス」
「自信がない」ことと「実力不足」は、必ずしもイコールとは限りません。
まったく学習をしていないのであればともかく、きちんと学習をしたうえで自信がないのは、むしろ学習が次の段階へ進んだ証拠であり、ポジティブなサインと捉えることができます。
心理学には「ダニング=クルーガー効果」という認知バイアス(物事の捉え方や判断の偏り)に関する理論があります。簡単に言えば「能力の低い人ほど、自分の能力を高く見積もる」傾向を指す現象です。
多くの学習者は、このダニング=クルーガー効果により、以下のような自信の変化を経験すると言われています。
第1段階:学習初期(「すべて理解した」と感じる自信過剰期)
学習を始めたばかりの頃は、触れるものすべてが新しい知識です。
そのため、知識をスポンジのように吸収し、急激にレベルアップしている感覚になりがちです。少し学んだだけで、すぐにその分野のすべてを理解したかのように感じられることもあります。
ですが、実際にはこの時点で学んだ知識は全体のほんの一部。ごく一部の知識を猛スピードで吸収しているにすぎません。0から学習を始めれば、10学んで10吸収できるのは自然なことでしょう。
その結果、実力がまだ伴っていないにもかかわらず、自分がその分野の天才であるかのように錯覚し、自信過剰になりやすいのです。
第2段階:学習中期(知識の全体像が見え、自信が急落する時期)
さらに学習を進め、知識の全体像や分野の奥深さが見え始めると、逆に「自分には実力が足りない」「まだまだ知らないことが多すぎる」という現実に直面することになります。
実際には、知識やスキルは学習初期と比べて確実に上がっているはずです。
ただ、学習を通してそれ以上に「学ぶべきことの広さ」が見えてきてしまうため、相対的に自分の実力が低いかのように感じてしまうのです。
その結果、第1段階で自信過剰だった反動もあり、今度は急激に自信が低下しがちです。
FP学習においては、学習中盤あたりにこの段階がやってくることが多いでしょう。
そのため、しっかり学習をしていても「試験に申し込むのはまだ早いかも」と、不安を感じやすい時期と言えます。
第3段階:学習後期(実力を客観視でき、自信が回復する時期)
自信が急落する第2段階から、さらに模擬試験や学習を重ねると、学習範囲の全体像がより明確に見えてきます。
度重なる学習を繰り返してきたことで、自分の実力も俯瞰(ふかん)して判断できるようになってきます。その結果、全体像の広さを把握しつつも、「その中で自分が何を知っていて、何を知らないか」を客観的に把握できるようになっていることでしょう。
この段階になれば、模擬試験を通して「いまFP試験に申し込んだ場合、だいたい〇〇%くらいの確率で合格できそうだ」という見通しもある程度立てられるようになっているかもしれません。
もし足りない部分があったとしても、「試験合格のために今から何をすべきか」もわかっているため、試験に対する過度な不安は少なくなっていると考えられます。
この段階まで自分の実力を高めれば、試験も高い確率で合格できる可能性が高いでしょう。
ただ、この段階にたどり着くためには、かなりしっかりと模擬試験や学習を繰り返す必要がありそうです。
FP3級試験の場合、合格率の高さを考えると、多少不安を抱えた状態(第2段階)でも十分合格を狙うことは可能です。
難易度の高いFP2級試験を受ける方や、念には念を入れて試験に臨みたい方は、第3段階の状態まで学習を進めておくと、より安心でしょう。
「試験申し込み」をゴールではなく、最強の学習ツールにする
試験を申し込むと、まるで学習のすべてが終わったかのように感じてしまいがちです。
ですが、申し込みはあくまでも通過点であり、合格というゴールそのものではありません。
その事実を再確認し、申し込みを「合格するまでの最後の学習ツール」として活用してみてはいかがでしょうか。
理由1:締切が学習効率を高める「ゴール設定理論」
先述したように、FP試験、特に3級の合格率は80%以上と比較的高いため、「少々不安」程度であれば、思い切って試験に申し込んでみるのも一つの手です。
その根拠の一つとして、心理学者のエドウィン・ロックが提唱した「ゴール設定理論」が挙げられます。
人は、試験日のような「強制的な締切」が設定されると、モチベーションとパフォーマンスが向上すると言われています。
子どもの頃、夏休みの前半には手つかずだった宿題が、後半になると一気に片付いた、あの現象に近いかもしれません。
試験に申し込むことで、あなたの脳は締切からの「逆算思考」を始め、残された時間で何をすべきかを効率的に考え始めるきっかけになります。
この「締切効果」によって、「少々不安」と感じる程度の学習の溝は、案外すぐに埋められるのではないでしょうか。
学習後半に差し掛かると、モチベーションが下がってきて学習ペースが落ちてしまいがちです。
少し見切り発車のように感じても、このタイミングで「試験日」という明確な目標を立てて、学習にメリハリをつけるのも有効な戦略です。
理由2:受験料は「無駄」ではなく「自己投資」
試験に落ちる前提で挑む方はいないと思いますが、万が一の結果になったとしても、その経験は決して無駄にはなりません。
例えば、FP3級の試験にかかる受験料は、学科・実技を合わせても8,000円です。
これを「失うかもしれないコスト」ではなく、以下のリターンが得られる自己投資だと考えてみてください。
- 本番の空気感を肌で知る権利
- 時間配分という、独学では得難い経験やデータ
- 最も信頼性の高い、あなただけの「実力・弱点分析レポート」
もし今回うまくいかなかったとしても、この8,000円の投資で得たデータが、あなたの次回の合格率をぐっと高めてくれるはずです。
さらに、あらかじめ「万が一落ちても無駄にならない」と考えておくだけで、「試験では絶対に失敗できない」という過度なプレッシャーを和らげる効果も期待できます。
その結果、試験本番で緊張が解けて本来の実力を発揮しやすくなり、かえって合格の可能性を高めてくれるかもしれません。
理由3:「100%の準備」という幻想を手放す
資格試験に限らず、あらゆる事柄において「完璧に準備ができた状態で挑める」ケースはほとんどないのではないでしょうか。
実力、時間、その時のメンタル…万全の状態を求めても、往々にして何かが足りないものです。
そんな不確定な「万全のタイミング」を待っていたら、時間だけが過ぎていってしまうかもしれません。
「試験」は実力を測る場ではありますが、それだけではなく「最後の学習ツール」であり、「貴重な経験を得るための自己投資」でもあります。
試験だからと必要以上に気負わず、少し肩の力を抜いて申し込みを検討してみませんか?
まとめ:「自信がない」は、むしろ試験に申し込む好機かもしれません
- 「実力不足だ」と感じるのは、見方を変えれば、それまできちんと学習を行ってきた証拠とも言えます。
- 合格率の高いFP3級であれば、「自信がない」と思うほど学習を重ねてきたあなたなら、合格を狙える可能性は十分にあるはずです。
- そもそもFP試験は、万が一のことがあっても何度でも挑戦できます。そう考えれば、少しは気楽に試験申し込みができるのではないでしょうか。
- とはいえ、しっかり学習してきたあなたであれば、きっとその不安は杞憂に終わるはずです。これまで積み重ねてきた学習時間を信じて、一歩踏み出してみてください。
